能は室町時代に観阿弥かんあみ世阿弥ぜあみという父子により大成されたと 伝えられています。うたい(歌・セリフ)と囃子はやし(楽器)に合せて演じられる劇で、多く の曲で演者が能面という仮面をつけているのが特徴です。登場人物は人間だけでなく 神や⻤、妖怪や幽霊などこの世のものではないものも登場します。

現在、舞台で演じられている能の曲は、この当時の観阿弥、世阿弥が書き残したもの とほぼ変わりません。600 年以上もの間かたちを変えず現在まで受け継がれてきまし た。

能は、静かで格式の高い舞台芸術で、主に神話や歴史的人物がテーマです。演者はお面をかぶり、音楽と舞が一体となって物語が進みます。内容も深刻で哲学的なものが 多いです。一方、狂言はユーモラスで滑稽こっけいさのある劇で、日常的なテーマや人間のおろかさを描きます。能と比べて軽快で動きも早く、観客に笑いを提供し、より親しみやすいのが特徴です。